今回は、2025年1月3日(金)、米国ユタ州(Utah)ダッシェーン郡(Duchesne)にある石油生産施設で石油タンクのメンテナンス中に火災が発生した事例を紹介します。
< 発災施設の概要>
■ 事故があったのは、米国ユタ州(Utah)ダッシェーン郡(Duchesne)にある石油生産施設である。
■ 発災があったのは、ダッシェーン郡で州道87号線付近にある石油生産施設の石油タンク群である。この施設は、油田タンクバッター(Oilfield tank batter)と呼ばれ、油井から採取した原油、ガス、水などの流体を貯蔵、処理、分離するタンクやその他の機器の集合施設である。
< 事故の状況および影響>
事故の発生
■ 2025年1月3日(金)午後12時30分頃、石油生産施設の石油タンク群で火災が発生した。
■ 発災にともない、火災の通報がダッシェーン郡保安官事務所にあった。
■ 火災は石油タンクのメンテナンス中に発生し、タンク群全体が炎に包まれた。
■ 警察は、石油生産施設とその周辺地域に避難指示を出し、州道87号線は一時閉鎖された。
■ 事故にともなう負傷者はいなかった。
■ ユーチューブでは、事故について動画が投稿されている。
●Youtube、「 Oil
burying station burns in Duchesne County」(2025/01/04)
●Youtube、「 Fire!
Fire! Fire! Oil Tank Fire in Duchesne County, Utah」(2025/01/04)
■ 石油生産施設のタンク群(少なくとも6基以上)が火災で損壊した。タンク内部の石油が焼失した。
■ 負傷者は出なかった。
■ 石油生産施設とその周辺地域に避難指示が出された。州道87号線は一時的に閉鎖された。
< 事故の原因>
■ 火災の原因は報じられておらず、不明である。石油タンクのメンテナンス中に火災が発生しているので、メンテナンス作業が何らかの関与をしているとみられる。
< 対 応>
■ 火災は、いつ鎮火したのか報じられていない。
■ 火災の原因は不明で、当局は火災の正確な原因を明らかにしていない。
補 足
■「ユタ州」(Utah)は、米国の西部に位置し、人口約327万人の州である。州都はソルトレイクシティで州の総人口の80%以上がソルトレイクシティを中心とするワサッチフロントと呼ばれる地域に住んでいる。このために州内の大半の地域にはほとんど人が住んでいない。
「ダッシェーン郡」(Duchesne County)は、ユタ州の北東部に位置し、人口約18,600人の郡である。ダッシェーン郡は、ダッチェイン、ドゥーシェイン、ダチェスニなどと呼ばれている。
■「発災場所」は、ダッシェーン郡で州道87号線付近にある石油生産施設の石油タンク群と報じられているが、グーグルマップで調べても特定できなかった。州道87号線沿線は石油生産施設が多数あり、該当するような施設は見当たらなかった。「発災タンク」の大きさは分からないが、直径を2~3m、高さを4~6mとすれば、1基の容量は12~42KL程度である。
発災場所のユタ州ダッシェーン郡では、2024年8月に起きた「米国ユタ州の油田掘削施設で爆発、貯蔵タンクなどが火災、負傷者1名」(2024年10月)でマイトンにある油田掘削施設で爆発があり、掘削装置と油タンクの被災した事故がある。タンクの並び方や炎の立ち昇り方の写真は今回の事故と似ている。
所 感
■「火災の原因は不明で、当局は火災の正確な原因を明らかにしていない」という。しかし、火災は石油タンクのメンテナンス中に発生しているので、米国CSB(化学物質安全性委員会) がまとめた「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」(2011年7月)のつぎの項目のいずれかが欠けていたと思われる。
①代替方法の採用、 ②危険度の分析、 ③作業環境のモニタリング、
④作業エリアのテスト、⑤着工許可の発行、⑥徹底した訓練、⑦請負者への監督
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Kutv.com, Oilfield tank battery catches fire during maintenance in
Duchesne County, January 04, 2025
・Abc4.com, PHOTOS: Oil tank
catches fire in Duchesne County during maintenance, January 03, 2025
・Ksltv.com, Oil burying station burns in Duchesne County,
January 03, 2025
・Basinnow.com, Oil Tank Fire In Duchesne County, January
06, 2025
後 記: ユタ州の事例は「米国ユタ州の油田掘削施設で爆発、貯蔵タンクなどが火災、負傷者1名」(2024年10月)で紹介したことがあります。このときに初期の発災状況が報じられておらず、原因を推測する情報はないと所感に書きましたが、今回はさらに当局がなにも話していません。ユタ州は総人口の80%以上がソルトレイクシティを中心とする地域に住んでおり、州内の大半の地域にはほとんど人が住んでいないといいます。そのような人がほとんど住んでいないところで起こった石油生産施設の火災事故は住民の関心が乏しいのか、地元の石油生産施設の関係者に配慮しているのかわかりませんが、ブログでまとめようのない状況でした。